相続人ではなくても相続財産が取得できる?!

相続人ではなくても相続財産が取得できる?!

遺言書がなくても、

相続人ではない人が相続財産を取得できるということを

ご存知でしょうか。

皆さんは

「特別縁故者(とくべつえんこしゃ)」

という言葉を聞いたことがありますか?

生前に

「被相続人の療養看護に努めた」

「一緒に暮らしていた」

など、被相続人と特別の関係があった人のことです。

いわゆる「おひとりさま」で相続人が誰もいない場合、

たとえ遺言書がなくても、

特別縁故者が裁判所に相続財産分与の申立てをすれば、

遺産の一部を受け取ることもできるのです。

では、いったいどれぐらい受け取ることができるのでしょうか。

特別縁故者ってどれくらい遺産をもらえるの?

今回は、特別縁故者が高額の遺産を受け取ったケースをご紹介しましょう。

【ケース1】 神戸家庭裁判所尼崎支部 令和元年6月10日審判

特別縁故者

被相続人の遠縁の女性(被相続人から見て母方の義理の従姉妹)のAさん

Aさんと被相続人との関わり

Aさんは、被相続人が平成19年にパーキンソン病を発症した後、

日常的に励ましたり外出させたりし、

入院時は保証人となりお見舞いを欠かしませんでした。

被相続人は年上のAさんを慕い、

遺言書としての効力はないものの、

「Aさんに預貯金の半分をのこす」というメモを書いていました。

そして、

被相続人が平成29年に亡くなった後はAさんが喪主となって被相続人のお別れ会をしたり

相続財産管理人選任の申立てをしたりしたのです。

Aさんに分与された遺産:2000万円(遺産総額約6726万円)

【ケース2】大阪高等裁判所 平成31年2月15日決定

特別縁故者:被相続人の元雇用主のBさん

Bさんと被相続人との関わり

酒屋経営者であったBさんの父は、

昭和30年から被相続人を雇用しており、

昭和47年にBさんに代替わりした後はBさんが引き続き被相続人を71歳まで雇用し続けました。

晩年の給料には労働の対価以上の援助的な要素が含まれていたそうです。

そして、被相続人が平成13年に脳出血で倒れてからは、

Bさんが入院や施設入所の諸手続をしたり、

預貯金や不動産の管理・処分をしたり、

任意後見人になったりしたのです。

被相続人が平成28年に亡くなった後は、

Bさんが死後手続や葬儀・法要を執り行い、

相続財産管理人選任の申立てをしたりしました。

Bさんに分与された遺産:2000万円(遺産総額約4000万円)

この2つのケースは、特別縁故者の献身に裁判所が理解を示し報いた好例だと思います。

でも、きちんとした遺言書が残されていれば、AさんやBさんは裁判所の手続を経ることなく、

すんなりと遺産を手にすることができたはずですね。

皆さんも、大切な方や気になる方に遺言書をおすすめしてみてください。

文責:木野綾子(当法人理事兼弁護士)