遺言書の種類と特徴を徹底比較 ~あなたに最適なのはどのタイプ?

こんにちは、一般社団法人北海道相続遺言総合支援協会です。
「遺言書を作りたいけれど、どんな種類があるのか分からない」「自分にはどのタイプが適しているのか迷っている」という声をよく耳にします。
遺言書には複数の種類があり、それぞれに特徴やメリット・デメリットがあります。
今回は、主な遺言書の種類と特徴を比較し、あなたに最適な遺言書選びのポイントをご紹介します。
目次
自筆証書遺言 ~手軽さと秘密保持が魅力
特徴
自筆証書遺言は、遺言者が全文・日付・氏名を自筆で書き、押印する遺言書です。
メリット
- 費用が安い:紙と筆記用具があれば作成できるため、基本的にコストがかかりません
- 手軽に作成できる:いつでもどこでも作成可能で、専門家の立会いは不要です
- 秘密保持が可能:他者に内容を知られずに作成できます
- 随時書き換えが容易:状況変化に応じて新たに書き直すことができます
デメリット
- 方式不備のリスク:法律で定められた形式を満たしていない場合、無効になる可能性があります
- 紛失・改ざんのリスク:保管方法によっては紛失したり、発見されなかったりするケースがあります
- 検認手続きが必要:相続開始後、家庭裁判所での検認手続きが必要です(法務局保管制度を利用した場合を除く)
こんな方におすすめ
- 費用を抑えて手軽に作成したい方
- 内容を他人に知られたくない方
- 遺言内容が比較的シンプルな方
法務局保管制度を利用した自筆証書遺言 ~安全性強化型
特徴
令和2年7月から始まり、令和5年にリニューアルされた制度で、自筆証書遺言を法務局で保管してもらう仕組みです。
メリット
- 安全な保管:法務局が責任を持って保管するため、紛失や改ざんの心配がありません
- 検認不要:法務局保管の遺言書は家庭裁判所の検認手続きが不要です
- 相続人への通知:遺言者の死亡後、法務局から相続人等に遺言書の保管の通知がされます
- 財産目録はパソコン作成可:添付する財産目録はパソコン等で作成することができます
デメリット
- 手数料がかかる:申請1回につき3,900円の手数料が必要です
- 本人出頭が原則:原則として遺言者本人が法務局に出向く必要があります
- 全国の法務局で保管申請が可能に:令和5年の制度リニューアルにより、住所地にかかわらず全国の法務局で申請できるようになりました
こんな方におすすめ
- 自筆証書遺言の手軽さを活かしつつ、保管の安全性も確保したい方
- 検認手続きを省略したい方
- 確実に遺言書を相続人に見つけてもらいたい方
公正証書遺言 ~確実性重視の王道タイプ
特徴
公証人の作成による公正証書として作成される遺言書です。2人以上の証人の立会いのもと、遺言者が遺言内容を公証人に伝え、公証人が作成します。
メリット
- 高い法的安定性:方式不備による無効リスクがほとんどありません
- 原本は公証役場で保管:原本が公証役場で永久保存されるため、紛失の心配がありません
- 検認不要:家庭裁判所での検認手続きが不要です
- 専門家のアドバイス:公証人による内容の適法性チェックが受けられます
デメリット
- 費用がかかる:遺言書の内容や財産額に応じた手数料(公証人手数料令に基づく)と証人への謝礼が必要です
- 手続きの手間:公証役場への訪問、証人の手配などの手間がかかります
- 秘密保持の点で劣る:証人や公証人に内容が知られます
こんな方におすすめ
- 遺言書の有効性を最優先したい方
- 遺言内容が複雑な方
- 相続人間で争いが予想される方
- 高齢や病気などで自筆が困難な方
秘密証書遺言 ~内容秘匿と第三者関与のバランス型
特徴
遺言者が署名押印した遺言書を封筒に入れ、公証人と証人の前でその封筒に署名押印する方式です。
メリット
- 内容の秘密保持:公証人や証人に内容を知られずに作成できます
- 公証人の関与:方式面で公証人が関与するため、一定の安心感があります
- 自書不要:遺言書自体はパソコン等で作成することも可能です
デメリット
- 保管の問題:遺言者自身が保管する必要があり、紛失のリスクがあります
- 検認が必要:相続開始後、家庭裁判所での検認手続きが必要です
- あまり普及していない:実務上あまり利用例が多くない方式です
こんな方におすすめ
- 内容を秘密にしつつ公的関与も欲しい方
- 自筆が困難だが内容は秘密にしたい方
特殊な遺言形式 ~緊急時のための例外的方法
危篤状態での死亡危急時遺言、船舶・航空機内での危難時遺言、隔絶地域での遺言、感染症隔離中の遺言など、特殊な状況下で作成される遺言もあります。
これらは非常時のための特例的な方法であり、通常は上記1~4の方法が選択されます。
あなたに最適な遺言書の選び方

遺言書の選択にあたっては、以下のポイントを考慮するとよいでしょう。
- 重視するのは手軽さ?確実性?秘密保持?
優先したい要素によって選択肢が変わります。 - 遺言内容の複雑さ
財産構成や相続人の状況が複雑な場合は、専門家の関与がある方式がおすすめです。 - 予算
利用できる費用によって選択肢が変わることもあります。 - 健康状態
自筆が困難な場合は、公正証書遺言が適しています。 - 相続人間の関係性
争いが予想される場合は、より確実性の高い方式を選ぶべきです。
まとめ
遺言書の種類によって、メリット・デメリットが異なります。多くの方には公正証書遺言か法務局保管制度を利用した自筆証書遺言がおすすめですが、ご自身の状況や希望に合わせて最適な方式を選ぶことが大切です。
当協会では、あなたの状況やご希望をお聞きした上で、最適な遺言書の種類と内容をご提案しています。「どの遺言書が自分に合っているか分からない」という方は、ぜひ一度ご相談ください。専門家が丁寧にアドバイスいたします。